柚湯ゆずゆ)” の例文
ここでは越の湯と日の出湯というのに通って、十二月二十二、二十三の両日は日の出湯で柚湯ゆずゆ這入はいった。わたしは二十何年ぶりで、ほかの土地のゆず湯を浴びたのである。
風呂を買うまで (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その前に、一碗いちわん柚湯ゆずゆをすすめて、若い小間使が、彼のうしろへ廻った。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「『今日柚湯ゆずゆ』——そうか、今日は冬至か?」
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
冬至とうじ柚湯ゆずゆ——これは今も絶えないが、そのころは物価がやすいので、風呂のなかには柚がたくさんに浮かんでいるばかりか、心安い人々には別に二つ三つぐらいの新しい柚の実をくれたくらいである。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)