柊屋ひいらぎや)” の例文
京都に着くと自動車が待っている——柊屋ひいらぎやへ乗りつける——支度の出来ていた昼食をしたためて直ぐ見物に出掛ける。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
脇本陣からかなり距てた、本陣柊屋ひいらぎやの門口へ、新助や外伝が来かかった時、その玄関から二挺の駕籠が、多勢の供人を従えて街道へ出、下諏訪宿の方へ向かった。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
午後迄柊屋ひいらぎや旅館に休憩。午後烏丸一条南中田余瓶よへい居に行き、小野竹喬ちくきょう、福田平八郎、金島桂華、高倉観崖かんがい吉井勇よしいいさむ、谷崎潤一郎、年尾、立子と共に会席の饗に預る。
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
二人は茶店で腹をこしらえ、あと戻りして藍川の宿しゅく柊屋ひいらぎやという(十郎太が昨夜泊った)宿で草鞋わらじをぬいだ。二人はお互いに姓名を告げあい、風呂のあとで酒を飲んだ。
日日平安 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その時は正岡子規まさおかしきといっしょであった。麩屋町ふやまち柊屋ひいらぎやとか云う家へ着いて、子規と共に京都のよるを見物に出たとき、始めて余の目に映ったのは、この赤いぜんざいの大提灯である。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この同じ浜松城下の、脇本陣の柊屋ひいらぎやに、萩丸と菊女きくめとの一行が、幾部屋かを占領して泊まっていた。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それから封書の裏に、小松町柊屋ひいらぎやと書いてあるのを読んだ。
雨の山吹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
柊屋ひいらぎやのは大理石に色硝子ずくめの素晴らしいものだ。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)