板倉いたくら)” の例文
室の中央には、数百年来そこにおいてあった彫刻か何かのような、その場にふさわしい恰好をして、板倉いたくら刑事課長が悠然と腰をおろしていた。
犠牲者 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
えらむべきの第一也三代將軍しやうぐん御代みよより大猷公たいいうこう嚴有公げんいうこうの兩君にまたがりて板倉いたくら伊賀守同周防守すはうのかみ内膳正ないぜんしやうまこと知仁ちじん奉行ぶぎやうなりと萬民ばんみんこぞつて今に其徳そのとく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「小さいどころか、甘露煮にするにはこのくらいがごくだアな。それに、板倉いたくらで取れたんだで、骨はやわらけい」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ところが先年中頸城なかくびき板倉いたくら村大字横町の何右衛門とかいう者、これに眼を着けて十数名の人夫を引率し、この山に入って谷間に小屋を掛け日中は硫黄を採取し夜はこの小屋に集まって寝た。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)