松井須磨子まついすまこ)” の例文
この人々は日本を遠く去ってその名声を高めたが、海外へはついに出なかったが、新女優の第一人者として松井須磨子まついすまこのあった事も特筆しなければなるまい。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
松井須磨子まついすまこたちと芝居をしていたひとです。私は、間もなく、この田辺氏と結婚しました。
文学的自叙伝 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
不如帰ほととぎす」「藤村とうそん詩集」「松井須磨子まついすまこの一生」「新朝顔日記」「カルメン」「高い山から谷底見れば」——あとは婦人雑誌が七八冊あるばかりで、残念ながらおれの小説集などは
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こんな類のうたを早口に調子付けて歌うというだけで、極めて幼稚な非芸術的なものであるが、それが非常に人気にかなって、かの松井須磨子まついすまこのカチューシャ以上に持てはやされたのであった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
有島氏と死んだ中央公論社の婦人記者波多野秋子はたのあきこ、さては新劇壇の明星松井須磨子まついすまこも書きのこされまい。
明治大正美人追憶 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
はじめは例のごとく机に向って、「松井須磨子まついすまこの一生」か何か読んでいたが、まだ一ページと行かない内に、どう云う訳かその書物にたちまち愛想をつかしたごとく、邪慳じゃけんに畳の上へほうり出してしまった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)