本間ほんけん)” の例文
御出発なさる時に湖月抄と本間ほんけんの琴とを買つていたゞきましたから、「もう十分ですのに」とは申しましたが、若い時ですからやはり喜びました。
兄の帰朝 (新字旧仮名) / 小金井喜美子(著)
そして幸子がすみの方に、床板に直かに座布団ざぶとんを敷き、光琳菊こうりんぎく蒔絵まきえのある本間ほんけんの琴を横たえてすわっていた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
本間ほんけんの床の間には、大きな白紙に島田麻太という、新生児の名がってあった。
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
御出発なさる時に『湖月抄こげつしょう』と本間ほんけんの琴とを買っていただきましたから、「もう十分ですのに」とは申しましたが、若い時ですからやはり喜びました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
どうしてこんな物がこの家に伝わっていたのであろう、———色褪いろあせたおおいの油単ゆたんを払うと、下から現れたのは、古びてこそいるが立派な蒔絵まきえ本間ほんけんの琴であった。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)