木舞こまい)” の例文
「あとはもう楽だ。一尺も掘ると、その下は土蔵を壊した時の、壁土や瓦や貫や木舞こまいが投込んであるというから——」
木舞こまいだの、台木だの、背板だの……といった言葉の中に、何となく親身なしみじみした響きが聞きとれるのだった。
可愛い女 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
太陽は入江の水平線へしゅの一点となって没していった。不弥うみみや高殿たかどのでは、垂木たるき木舞こまいげられた鳥籠とりかごの中で、樫鳥かけすが習い覚えた卑弥呼ひみこの名を一声呼んで眠りに落ちた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
木舞こまいをつける際には金槌かなづちのひと打ちで釘をすっかり打ちこむことができるのをおもしろく思った。その次には、壁土をこね板から壁にきれいに速く移すのが、わたしの野心となった。