木津きづ)” の例文
「十九日の晩の五ツどきに、木津きづの河岸から安治川へ。その夕方に、四国屋の裏まで、身装みなりを変えて来てくれたら、あとはお久良様がよいように手筈をしようとおっしゃいます」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
分流は時に細い早瀬となり、蘆荻ろてきに添い、また長い長い木津きづつつみの並木について走る。堤には風になびく枝垂柳しだれやなぎも見える。純朴な古風の純日本の駅亭もある。そうして昔作むかしづくりの農家。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
雲仙火山群の一つである猿葉さるは山の険しい山脚が、海に走って形作っている木津きづの半島が紺碧こんぺきの海に突出しまたそれを隔てて更に、国崎くにざき半島が野母のも半島と相対して、大きく千々岩ちぢわ灘を抱擁していて
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)