木口こぐち)” の例文
「普請こそ小せえが、木口こぐちと言い道具と言い——何のこたあねぇ、こういけ又七とでも言いたげな、ふうん、こいつぁちっと臭ぇわい」
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
巨材の木口こぐちには、かすがいを打って、かすがいには、綱がくくり付けられてある。その綱に、三十人余りの老人や女やわらべがつかまって
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
競馬の行はれた境内は不断殆ど人気のない所で、そこには永い間風雨にさらされて木口こぐちがすつかり灰白色になつた大きい拝殿がゆるんだ屋根の端を高いところで傾けてゐた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
その棒の木口こぐちに三の字を書いて、わが口の中にて「カエリコンズカエリコントハオモエドモ、サダメナキヨニサダメナケレバ」と三度読み、口の内にて「ヨレヨレ」といえば
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
つむ本の木口こぐちぞ古き秋の暮 旦藁たんこう
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)