暮田正香くれたまさか)” の例文
復古が復古であるというのは、それの達成せられないところにあると言ったあの暮田正香くれたまさかの言葉なぞを思い出して彼は暗然とした。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一人は将軍最初の上洛じょうらくに先立って足利尊氏あしかがたかうじが木像の首を三条河原さんじょうがわらさらした示威の関係者、あの事件以来伊那に来て隠れている暮田正香くれたまさかである。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その月の末、平田同門の先輩の中でもことに半蔵には親しみの深い暮田正香くれたまさかの東京方面から木曾路きそじを下って来るという通知が彼のもとへ届いた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼はその光をめがけながら飛びかう虫の群れをつくづくとながめているうちに、久しく音信たよりもしない同門の先輩暮田正香くれたまさかのことを胸に浮かべた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼はまた、その行列の中に加わっている先輩の暮田正香くれたまさかや、友人の景蔵や香蔵の姿を想像でありありと見ることができた。お民もその夜は眠らない。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
半蔵はこの人を馬籠本陣に迎えて、日ごろ忘れない師鉄胤かねたねや先輩暮田正香くれたまさかからのうれしい言伝ことづてを聞くことができた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そんな話を持って、先輩暮田正香くれたまさかから、友人の香蔵や景蔵まで集まっている京都の方へたずねて行って見ると、そこでもまた雨だ。定めない日和ひよりが続いた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
さきには三条河原示威の事件で、昼夜兼行で京都から難をのがれて来た暮田正香くれたまさかのような例もある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
京都方面で奔走していると聞いた平田同門の一人が、着流しに雪駄せったばきで、入り口の土間のところに立っていた。大草仙蔵とは変名で、実は先輩の暮田正香くれたまさかであった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あの出板しゅっぱんは大変な評判で、津和野藩つわのはんあたりからも手紙が来るなんて、伊那の衆はえらい意気込みさ。そう言えば、暮田正香くれたまさかが京都から逃げて来る時に、君の家にもお世話になったそうですね。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この人出の中に、平田門人暮田正香くれたまさかもまじっていた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)