暗道ポテルン)” の例文
暗道ポテルンの光沢のある橄欖石の側壁が、そこだけ花のうてなのようなかたちに穿れ、その中にあふれるばかりの水をひっそりとたたえていた。水。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そのカンヴァスの裏には、新宿の地下道のような古色蒼然たる暗道ポテルンの入口が、欠伸でもするようにアングリと口を開けていたのである。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
この秘密の暗道ポテルンこそは、魔都「東京」を形成するあらゆる都市機構のうちもっとも魅惑に富む部分でなければならぬ。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
この暗道ポテルンは地下十五尺のところを通っているのだから、容易なことで入り込むことが出来ぬ筈である。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
この陰気な行列は、ところどころに水溜りのある暗道ポテルンを粛々と歩いて行った。先頭の美少年の士官の歩調だけが、ひどく快活で、何かしら、それが、滑稽に見えるのだった。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ツルノニア圏の湿原を出てから、金剛砂エムリとクワルツ土の広漠たる原野を彷徨したのち、ふたたび輝石安山岩の単調な暗道ポテルンへ入り、七十六日目の朝、突然、この島の胴中へ出た。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ルールドの暗道ポテルンも、だいたいそれと同じである。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)