明盲あきめくら)” の例文
明盲あきめくらにしたり、いろいろやるが凄さが足りない。そこで考えたにゃ、物は何でも陰陽のつり合が大切だ。
一本の花 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「太政官はえらいのやが、俺等とおんなしで、字を知らん明盲あきめくらやさかい、何にも役はせえへんのやなア。」
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
むかし、ある物識ものしりが、明盲あきめくらの男を戒めて、すべて広い世間の交際つきあひは、自分の一量見をがむしやらに立てようとしてはいけない、相身互ひの世の中だから、何事にも
一生を明盲あきめくらで暮す運命の子供を多く見るにつけて、たとえ自分の最小の文字の力をでも、この際、彼等に移し植えてやろうという気になったのも、孔子のいわゆる好んで師となるの心ではない。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
仁右衛門(これから彼れという代りに仁右衛門と呼ぼう)はもとより明盲あきめくらだったが、農場でも漁場ぎょばでも鉱山でも飯を食うためにはそういう紙の端に盲判を押さなければならないという事は心得ていた。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
悪企みといふのはほかでもない、馬の眼に細い針を刺し通して、生れもつかぬ明盲あきめくらにしてしまふのだ。