於菊おきく)” の例文
その群れの中に、於菊おきくはいたのである。彼女は、村重が室殿を伴うて脱城した日のすこし前に、これらの人々がいる局の一室に監禁かんきんされていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼がうながす目のほうへ官兵衛も眼を向けていた。池の坊を出てすぐの湯町の辻に、於菊おきくたたずんで見送っていた。側には、義兄の白銀屋新七がいた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なに。於菊おきく? ……」と、いぶかしげであったが、官兵衛はなおその眼を大きくみはって、——
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)