新香しんこ)” の例文
お蔦の好きなかくやの新香しんこも刻んでおいたし、茶棚には銚子も二本並べてあって、首をつまんで燗銅壺かんどうこに入れさえすれば、赤い座蒲団に坐ったきりで、そのまま、寝酒をむばかりに
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不器用なお作がこしらえてくれた三度三度のゴツゴツした煮つけや、薄い汁物つゆものは、小器用なお国の手で拵えられた東京風のおかずと代って、膳の上にはうまい新香しんこを欠かしたことがなかった。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)