さわが)” の例文
風は大洋の表面をさわがす。若しそれが疾風であれば波が立つ。その波は泡立ちながら跳びあがつて、互ひちがひに高いうねりになつたり、くづれたりするのだ。
しかしそう云う幻覚のほかにも、お蓮の心をさわがすような事件は、現実の世界からも起って来た。と云うのは松もとれない内に、噂に聞いていた牧野の妻が、突然訪ねて来た事だった。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)