擦硝子すりガラス)” の例文
そのせいか、島田の自分を見る眼が、さっき擦硝子すりガラスかさを通して油煙にくすぶった洋燈ランプを眺めていた時とは全く変っていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
丁度春の盛りの頃で、左手の窓の擦硝子すりガラスには自然の豐熟を唄ふやうな長閑のどかな日光が輝いてゐた。明るい教室の中にはもやもやした生暖い空氣が一杯にめ渡つてゐた。
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
すると、どこからかようやく足音が聞こえ出して、眼の前の擦硝子すりガラスがぱっと明るくなった。それから庭下駄にわげた三和土たたきを踏む音が二足三足したと思うと、玄関の扉が片方いた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)