“すりガラス”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
磨硝子77.1%
摺硝子14.3%
擦硝子8.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あの窓の磨硝子すりガラスが黄色い灯をにじませれば、与えられた生命に満足している人間を部屋のなかに、この通行人の心は想像するかもしれない。
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
それほどに強くない光でも永い間には案外の害を及ぼすから、灯光などでもなるべく裸火を廃して磨硝子すりガラスの玉ボヤのようなものをかけた方がよい。
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
踊り場の中央には大きな磨硝子すりガラスが嵌めこまれてあって、下からの照明が、フット・ライトのように、その上で踊る男と女の裾を淡く照らしあげた。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ユーゼーン・コルナッシュ通りの群集は並木の緑と一緒に磨硝子すりガラスのような気体のなかに収まってにぎやかな影をぼかして居る。
ドーヴィル物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
往来に面した磨硝子すりガラスに踊つてゐる人影がほのかに差して、ヂャヅの音が、町の静謐せいひつ掻乱かきみだしてゐた。
町の踊り場 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
頭の上の大電灯の笠——摺硝子すりガラスに切子細工の飾を付けた、何キログラムとも知れぬのが、恐しい勢で頭の上へ落ちて来たのでした。
身代りの花嫁 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
摺硝子すりガラスの戸がててある玄関へ来て、ベルを二三度押して見たが、ベルがかないと見えて誰も出て来なかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わざと遠慮して勝手口へ回ると、摺硝子すりガラスへ明るいが映って、中はざわざわしていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すると摺硝子すりガラス向側むこうがわで、ちょっと明けなさいと云う声がする。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その上、壁は四方とも美しい枠をもって鏡で貼られ、天井は全面が摺硝子すりガラスになっていて、白昼電燈が適当な柔かさをもって輝いてい、床には、ふかふかと足を吸込む豪奢ごうしゃ絨毯じゅうたんが敷きつめられてあった。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
そのせいか、島田の自分を見る眼が、さっき擦硝子すりガラスかさを通して油煙にくすぶった洋燈ランプを眺めていた時とは全く変っていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
丁度春の盛りの頃で、左手の窓の擦硝子すりガラスには自然の豐熟を唄ふやうな長閑のどかな日光が輝いてゐた。
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
すると、どこからかようやく足音が聞こえ出して、眼の前の擦硝子すりガラスがぱっと明るくなった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)