操觚者そうこしゃ)” の例文
今と違ってマダ操觚者そうこしゃの報酬の薄かったその頃に三十になるかならぬかの文筆労働者でこれだけの家を建築したのは左も右くも成功者であった。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
天下の操觚者そうこしゃほとんど筆をそろえてその偉人たることを称す、子規子はいかなる理由によって偉人と称せられたるか、世人が子規子を偉人とするところの理由いかんと見れば
絶対的人格:正岡先生論 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
以上の諸名家にいで大正時代の市井狭斜の風俗を記録する操觚者そうこしゃの末に、たまたまわたくしの名が加えられたのは実に意外の光栄で、我事は既に終ったというような心持がする。
正宗谷崎両氏の批評に答う (新字新仮名) / 永井荷風(著)
これには立志伝中の人物、一代の師表しひょうたる先生の御一文を是非々々仰ぎ上げたいのでございます。方今ほうこん世道せどうおとろえ、思想月にすさみ、我等操觚者そうこしゃの黙視するに忍びないものが多々ございます、云々うんぬん
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
操觚者そうこしゃも出版者も新聞雑誌社も硯友社にらざれば文壇の仕事は何一つ出来ないような形勢となった。
三田出身の操觚者そうこしゃ中松本水上の二子最も喜ぶ可し。余の二子を喜ぶ所以は専らその為人ひととなりに在り。三田社中才子多し文を作るに巧なるものを求めなば何ぞ二子のみを俟つに及ばんや。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)