掻巻かいま)” の例文
旧字:掻卷
そこでお栄は子供の事ですから、早速祖母の側へ行って、「御婆さん、御婆さん。」と二三度掻巻かいまきの袖を引いたそうです。
黒衣聖母 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
言いながら本多は彼の苦しそうな寝顔をのぞくと、田宮は暑いので掻巻かいまきを跳ねのけていた。
五色蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そして、素早く掻巻かいまきを顔の上にかぶせて、滝人はその上にのしかかったが、むろん振子のために舌が動く気遣いはなく、わずかに四肢を、ぶるるとふるわせたのみで、動かなくなってしまった。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
大分経ってから、掻巻かいまきをせてくれるお作の顔を、ジロリと見た。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
慎太郎は掻巻かいまきをねのけた。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)