掉尾ちょうび)” の例文
菊之助が掉尾ちょうびの一振ともいうべきものは、明治三十年二月の歌舞伎座で勤めた「せき」の小町姫であった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もしこの狗寺に入るを見ればことごとくとどまり低頭掉尾ちょうびすとある。タヴェルニエー等の紀行に、回教徒の厳峻な輩は、馬にさえ宗制通りの断食を厲行れいこうする趣が見える。
もちろん、寓話ぐうわ作者としてはここで老名人に掉尾ちょうび大活躍だいかつやくをさせて、名人の真に名人たるゆえんを明らかにしたいのは山々ながら、一方、また、何としても古書に記された事実を曲げる訳には行かぬ。
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
二番目は「文七元結ぶんしちもっとい」で、菊五郎の左官屋長兵衛、栄三郎の女房、丑之助うしのすけの娘、家橘かきつの手代文七という役割であったが、事実においてこれが団菊として掉尾ちょうびの一振であったらしく
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)