捲立まきたて)” の例文
あの時炭車トロを押して捲立まきたてから帰って来ると、片盤から自分の採炭場キリハへはいって行き、そこの闇の坑道でいつもそこまで迎に出ている峯吉に飛びついて行ったと云うが
坑鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
人びとは炭車トロを投げ出し、鶴嘴を打捨てて、捲立まきたてへ、竪坑へ、潮のように押寄せて行った。
坑鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
二枚目の伝票を受取ったお品は、捲立まきたての底でからになって降ろされて来た炭車トロを取ると、そのまま長い坑道を峯吉の採炭場キリハへ帰って行った。炭坑は、わば黒い息づく地下都市である。
坑鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)