据物すえもの)” の例文
そこでお松さんからもらめてあった欠け皿や茶碗ちゃわんを持出し、先生の型の見よう見真似で据物すえものの真似事をしていたのです、——という訳で
半化け又平 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
一刀を払って、斬りが、こう刀を衆に示して、据物すえものに向うと、観衆も斬り人の呼息いきと一つになって、しいっとなった。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その髷切りの曲者は、——据物すえもの斬の名人だろうが、髷を
こう宣言をうけながら、その前にこわばっていた人間は、逃げることができなかった。まるで据物すえもの同然に、物干竿の長剣は梨割りにその者を死骸にしてしまった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丹石流たんせきりゅうの、据物すえもの斬りの達人、お十夜孫兵衛のえりがみをとって、どう料理する気か。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)