指尺さしがね)” の例文
万次郎は年も若いし、腹のしっかりした悪党というのでもありませんが、つまりは慾に引っかかって、重兵衛の指尺さしがね通りに働くことになったんです。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「そんなものは、引き裂いちまいたまえ! そんなもの、大体君がビクビクしてるからいけないんだ! 万事は横浜へ帰ってから聞いてやるとそう言いたまえ」船長はまるでチーフメーツが指尺さしがねででもあるように頭から足までを
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
「そうすると、山城屋へ因縁いんねんを付けさせたのも、みんな女房の指尺さしがねなんですね」と、私は云った。
半七捕物帳:13 弁天娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さつきへ行ってお力を詮議すると、果たして彼女の指尺さしがねで、甚五郎は姿を隠したのである。
半七捕物帳:64 廻り灯籠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もし他言すれば、わたしの口ひとつでお前もきっと同罪におとしてみせるとお定は泣きながら彼をおどした。吉助はもう頭がくらんでしまって、結局お定の指尺さしがね通りに動くことになった。
半七捕物帳:31 張子の虎 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)