“拯(すくひ)” の例文
この恐るべき危機に瀕(ひん)して、貫一は謂知(いひし)らず自ら異(あやし)くも、敢(あへ)て拯(すくひ)の手を藉(か)さんと為るにもあらで、しかも見るには堪へずして、空(むなし)く悶(もだ)えに悶えゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
拯(すくひ)を求むるその声に、貫一は身も消入るやうに覚えたり。彼は念頭を去らざりし宮ならずや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
久く垂籠(たれこ)めて友欲き宮は、拯(すくひ)を得たるやうに覚えて、有るまじき事ながら、或は密(ひそか)に貫一の報を齎(もたら)せるにはあらずやなど、枉(ま)げても念じつつ、せめては愁(うれひ)に閉ぢたる胸を姑(しばら)くも寛(ゆる)うせんとするなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)