抹香臭まっこうくさ)” の例文
「仏屋善右衛門は面白いね。抹香臭まっこうくさい商売に能く調和している。それに仏具屋町が有難い」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
まるで、明るみの中を歩くように、雑多にころがっている、仏具や、金仏の間を、巧みに趾先あしさきさぐりに通り抜けて、近づいたのが、須弥壇しゅみだんの前——抹香臭まっこうくささ、かび臭さが鼻をつ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
彼岸花、天蓋花てんがいばな死人花しびとばな、幽霊花、狐花などという、あまり好ましくない和名が民間に行われている故以ゆえんであろう。その中で穏かなのは彼岸花というのだけである。それとても抹香臭まっこうくさい。
従来寺院のものであった聖譚曲——聖書の中の事蹟じせきを音楽として、背景も扮装ふんそうも用いずに、地味じみ抹香臭まっこうくさく歌われた「聖譚曲」を、社会とお宗旨関係者の反対を押し切って劇場に持ち来り
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)