懸橋かけはし)” の例文
夜毎の月も數へ盡して、まどかなる影は二度まで見たるに、身の願の滿たん日は何れの頃にや。頼み甲斐なき懸橋かけはし
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
信濃の国司に藤原陳忠という男があったが、任を果して京へ帰ることとなり深山を越えて行くと、懸橋かけはしの上で馬が足をすべらして諸共に谷底へ落ちてしまった。
土の中からの話 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
都慣みやこなれぬ身には只〻胸のみ驚かれて、何と答へんすべだに知らず、其儘心なく打ち過ぐる程に、雲井の月の懸橋かけはしえしと思ひてや、心を寄するものも漸くすくなくなりて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)