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慵
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だる
ふりがな文庫
“
慵
(
だる
)” の例文
水分の多い
冷
(
つめた
)
い風が、遠く山国に来ていることを思わせた。ごとんごとんと云う
慵
(
だる
)
い水車の音が、どこからか、物悲しげに聞えていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お島はベンチに腰かけて、
慵
(
だる
)
い時のたつのを待っていた。庭の運動場の
周
(
まわり
)
に
植
(
うわ
)
った桜の葉が、もう大半
黄
(
きば
)
み枯れて、秋らしい雲が遠くの空に動いていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
笹村はちょうどまた注射の後の血が
溷濁
(
こんだく
)
したようになって、頭が始終重く
慵
(
だる
)
かった。酒も禁じられていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「お清さんお清さん。」と、廊下で自分を呼んでいる
朋輩
(
ほうばい
)
の
慵
(
だる
)
い声がした。(お庄はこの家ではお清と呼ばれている。)お庄は聞いて聞えない風をして黙っていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
主婦
(
あるじ
)
は上って行くお庄の顔を見ると、言い出した。
蒼白
(
あおざ
)
めたような頬に、薄い
鬢
(
びん
)
の髪がひっついたようになって、
主婦
(
あるじ
)
は今起きたばかりの
慵
(
だる
)
い体をして、莨を
喫
(
す
)
っていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
その汽車の込むことと、暑いことと言つたら!融は筋肉がぐしや/\に熔けるかとおもふほど
慵
(
だる
)
かつた。額に熱を感じた。歯齦から顎骨へかけて、気味の悪い疼痛が襲つて来た。
歯痛
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
慵
(
だる
)
い体を木蔭のベンチに腰かけて、袂から
甘納豆
(
あまなっとう
)
を
撮
(
つま
)
んではそっと食べていると、池の向うの柳の蔭に人影が夢のように動いて、
気疎
(
けうと
)
い楽隊や
囃
(
はやし
)
の音、騒々しい
銅鑼
(
どら
)
のようなものの響きが
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
慵
漢検1級
部首:⼼
14画
“慵”を含む語句
慵斎
慵鬟高髻緑婆娑