愛慾あいよく)” の例文
が、守人の心中には、浮世のあらしよりも、今夜の雨風よりも烈しい、大きなうずがまいていた。近寄る人をまき込まずにはおかない愛慾あいよく鳴門なるとだ。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
里人のかたるを聞けば、汝一旦ひとたび愛慾あいよく心神こころみだれしより、たちまち鬼畜に一二五堕罪だざいしたるは、あさましともかなしとも、一二六ためしさへまれなる悪因あくいんなり。
それは愛慾あいよくに就て子供ではないという意味ではなく、私たちは大島敬司という男にだまされて変な雑誌に関係していたので、大島に対する怒りの言葉であったが
二十七歳 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
これは少しも今の私の愛慾あいよくを静めてはくれませんでした。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
上 楞厳呪文りょうごんじゅもんの功も見えぬ愛慾あいよく
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
嗚呼愛慾あいよくと、驕樂けうらく
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)