惨虐ざんぎゃく)” の例文
旧字:慘虐
だから、実戦さながらの闘争や惨虐ざんぎゃくが一万五千人の観衆の前に、くりひろげられていく。アカグマ国人は、舞台のうえへ、しきりと声援と喝采とを送って
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
当時変だなとは思ったのだけれど、まさか彼女のあの温厚らしい禿頭の夫が、世にもいまわしい惨虐ざんぎゃく色情者であったとは気附かなんだ。いやそればかりではない。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
誰か、この平和な春の陽の下から、程なく、人間を焼く惨虐ざんぎゃくな煙が立ち昇ると思う者があるだろうか。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その婦人客の細い頸は、夫人の熱した右手の中で、死にかかった鵞鳥がちょうのようにびくびくしていた。夫人はそいつを引きずり倒して、鼻先の皮がむけるまで、床の上へ惨虐ざんぎゃくにこすり付けた。
ウォーソン夫人の黒猫 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
惨虐ざんぎゃくで、八幡の籔知らずみたいに不可解なものであるけ、被害者にとっては何とも云えぬ程恐ろしい出来事であるのに反比例して、探偵的興味からは実に申分のない題材なのだ。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
なるほど橋の下に、惨虐ざんぎゃくの限りをつくして、バラバラの屍体したいが散らばっている。
一九五〇年の殺人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
惨虐ざんぎゃくししむら
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と私はあまりの惨虐ざんぎゃくな光景に目を閉じました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)