“惨苦”の読み方と例文
読み方割合
さんく100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
また宗教として人間苦の体験が必須の条件であるというならば、饑饉ききん疫病えきびょうとの頻発する当時の生活には、人生の惨苦さんくは欠けていないと答えることができる。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
幼い時から、あらゆる人生の惨苦さんくと戦って来た一人の女性が、労働力の最後の残渣ざんさいまで売り尽して、愈々いよいよ最後に売るべからざる貞操まで売って食いつないで来たのだろう。
淫売婦 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
生活の惨苦さんくに沈む世の親たちがいとを殺す心の切なさが今こそ、しみじみとわが心に迫る。私の幸福は、わが子への愛情の中にけがれの意識をまじえないことにある。妻は私にとっては神様だ。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)