惡寒をかん)” の例文
新字:悪寒
周三は、よれ/\のあはせの裾下から現はした細い脚をひよろつかせながら、首を縮めて歩いてゐた。おきみは、からだの中に惡寒をかんを感じながら、胸を顫はして歩いてゐた。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
而ると何といふことは無く其所らが怖ろしくなつて、かすか惡寒をかん身裡みうちそよいで來る。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
夕方、外から見たときは、男を呼び込む女の聲が、惡寒をかんを感じたほど哀れな悲鳴にきこえたが、かうして内から覗いて見ると、窓先を群がり過ぎる男共が、一種奇怪な原始動物に見えた。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)