悲歌エレジイ)” の例文
詩集『悲歌エレジイ』は可なりな人気を博したとはいへ、猶人々は彼女をかの浪漫派時代の女詩人達、タストやセガラやエルザ・メルクールの輩と並べて考へてゐたものだつた。
デボルド―ヷルモオル (新字旧仮名) / 中原中也(著)
ほんとはマスネエの逝く春を惜しむ悲歌エレジイを弾いたんだったけど。皮肉っていや、そりゃ皮肉なのよ、その人は。いつだったかいっしょに芝居へ行こうと思ったら、髭も剃っていないの。
(新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
キクロウプス——古代ギリシヤ、ユーリピデスの悲歌エレジイに、はじめて引用されたる怪物の名称なるも、起原は、地中海に出没せるカレドニアの海賊の間に信仰されたるデモーネンの謂なり。
鬼の門 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
私はこういうY村に於ける私の悲歌エレジイをいつか一ぺん書いて置きたいと思っていた。それから数年後の、或る秋晴れの日だった。私は自転車に乗って、その村を一周ひとまわりして来ることを思いついた。
三つの挿話 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
人々はそれを見て、悲歌エレジイだと云つた。
デボルド―ヷルモオル (新字旧仮名) / 中原中也(著)