悄気返しよげかへ)” の例文
のみならず兄も意地悪さうに、わたしの顔をにらめて居ります。わたしはすつかり悄気返しよげかへつた儘、そつと又奥へ帰つて来ました。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
予はそれを聞くとひとしく口をつぐみて悄気返しよげかへれば、春雨しゆんうあたかも窓外に囁き至る、瀟々せう/\の音に和し、長吁ちようう短歎たんたん絶えてまた続く、婦人の泣音きふおんあやしむに堪へたり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ビスマルクはそれを見ると、急に悄気返しよげかへつてゐたが、都合よく仲裁者が出て来て、決闘は沙汰止みになつて了つた。
僕は悄気返しよげかへつたラツプと一しよにもう一度往来へ出ることにしました。人通りの多い往来は不相変毛生欅ぶなの並み木のかげにいろいろの店を並べてゐます。
河童 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)