悄々しょうしょう)” の例文
あの悄々しょうしょうと鳴りなびいていた、人っ子一人いない海岸の雑草も、今日はあたりの空気に酔うてか、たのしげにふるえている。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
渡頭ととう人稀ニ白鷺雙々そうそう、舟ヲかすメテ飛ビ、楼外花尽キ、黄鸝こうり悄々しょうしょう、柳ヲ穿うがツテ啼ク。籊々てきてきノ竿、漁翁雨ニ釣リ、井々せいせいノ田、村女烟ニ鋤ス。一檐いちえんノ彩錦斜陽ニ映ズルハ槖駝たくだ芍薬しゃくやくヲ売ルナリ。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)