たの)” の例文
庸三は灰色の行く手を感じながらも、朗らかに話している葉子の前にいるということだけでも、瞬間心はたのしかった。すがすがしい海風のような感じであった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そうした彼らを見ていると彼らがどんなに日光をたのしんでいるかがあわれなほど理解される。とにかく彼らが嬉戯きぎするような表情をするのは日なたのなかばかりである。
冬の蠅 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)