念々ねんねん)” の例文
爾来じらい予の明子に対する愛はますます烈しきを加へ、念々ねんねんに彼女を想ひて、ほとんど学を廃するに至りしも、予の小心なる、遂に一語の予が衷心を吐露す可きものを出さず。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ここいらで前段に述べた事を総括そうかつしておいて、それから先へ進行しようと思います。(一)吾々は生きたいと云う念々ねんねんに支配せられております。意識の方から云うと、意識には連続的傾向がある。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
我は心よりおそれ、妻は心よりたはる。我父母の為に泣き、妻はわが父母ちちははそしる。行道ぎやうだう念々ねんねん、我高きにのぼらむと欲すれども妻は蒼穹さうきうの遥かなるを知らず。我深く涙垂るれども妻は地上の悲しみを知らず。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)