快翔かいしょう)” の例文
すべてが細かい蠢動しゅんどうになってしまうのである。薄暮の縁側の端居はしいに、たまたま眼前を過ぎる一匹の蚊が、大空を快翔かいしょうする大鵬たいほうと誤認されると同様な錯覚がはたらくのである。
映画の世界像 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それ世界は造物主の林園なり。人類はその野禽なり。これをしてその幽谷を出で喬木きょうぼくに移り林園を快翔かいしょうせしめんと欲せば、まず貴族社会の籠中に孤囚たらしめざるべからず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)