必至ひっし)” の例文
「一ノ宮の城も、秀長の大軍に包囲され、もはや落城は必至ひっしと相成りました。——この辺で、お考えある方が、御賢明ではありますまいか」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日々に訳す暗号電報から、味方の惨敗ざんぱいは明かであった。連日飛来ひらいする米機の様相から、上陸が間近であることも必至ひっしであった。不気味な殺気をはらんだ静穏せいおんのまま、季節は八月に入って行った。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
そして兄のような温情主義を以てしていたら、敵性勢力の再燃は必至ひっしとみていたのである。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)