御雑煮おぞうに)” の例文
町井さんは、もうだいぶん病気がよくおなりだから、明日あしたはきっと御雑煮おぞうにが祝えるに違ないと云って余を慰めた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
クリスマスと新年の祝いも、いつしか過ぎ去りまして、はや今日は二十日はつか正月となりました。昨年さくねんの御正月には、御なずかしき御家に上りまして、御雑煮おぞうにの御祝いに預りました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「もうじき御正月ね。あなた御雑煮おぞうにいくつ上がって」と聞いた事もあった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「鼠どころじゃございません。御雑煮おぞうにを食べて踊りをおどるんですもの」と妻君は飛んだところで旧悪をあばく。吾輩は宙乗ちゅうのりをしながらも少々極りが悪かった。迷亭はまだ吾輩をおろしてくれない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わたしも取る年に候えば初春はつはる御雑煮おぞうにを祝い候も今度限りかと……何だか心細い事が書いてあるんで、なおのこと気がくさくさしてしまって早く東風とうふうが来れば好いと思ったが、先生どうしても来ない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)