御降おさが)” の例文
彼は少時しばらく下つてゐたのち、両手の痛みに堪へ兼たのか、とうとう大声に泣き始めた。して見れば御降おさがりの記憶の中にも、幼いながら嫉妬しつとなぞと云ふ娑婆しやば界の苦労はあつたのである。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あしたは明治大学がやすみになって嬉しいから、御降おさがりをちょっと作りました。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
今日けふ御降おさがりである。もつと歳事記さいじきしらべて見たら、二日ふつかは御降りと云はぬかも知れぬ。が蓬莱ほうらいを飾つた二階にゐれば、やはり心もちは御降りである。下では赤ん坊が泣き続けてゐる。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
御降おさがりや竹ふかぶかと町の空
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)