御法体ごほったい)” の例文
ちょうどこの上のお座敷でござります、そこへ機嫌ききに参りますると、六十五になる御法体ごほったいの隠居様。番頭どのや、厭な風説うわさがあるの、今湯殿で聞いて来ました。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
みかどの父ぎみ、後宇多ごうだ法皇は、まだ五十五、六でおわせられた。が、御愛人の遊義門院の死に会うて、御法体ごほったいとなられてからは、俄に、けまさッてお見えであった。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いかにおまえさんが、御法体ごほったいの、上人さまでも、こんな宝を、折角手に入れて、そのままになさるはずがないと思うのですがね——お前さんだって、島抜けの何のとまで綽名あだな
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「すでに、ちょうには新帝(光厳天皇)のご即位も行われ、世もなべて、ほっと安堵あんどの色めきにもありますこと。畏れながら、昨夢さくむはサラリとお忘れあって、いっそ御法体ごほったいにおなり遊ばしてはいかがなものでございましょうか」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)