御料人ごりょうにん)” の例文
いち御料人ごりょうにんは、かねてからもう甥の信孝の斡旋で、北ノ庄へ再嫁することに内輪はきまっていたが、先夫浅井長政とのあいだにしていた三人の子もあるので
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いったいおちゃ/\御料人ごりょうにんはおちいさいときから気ぐらいのたかいところがおありなされ、ことにはやくよりおふくろさまのお手一つで成人なされましたせいか
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
いったい資子はなにをしているのかと、三層上の部屋へ踏みあがって行くと、寝た間も気をたかぶらしている癇走った御料人ごりょうにんが、蒼白んだ小鼻のわきに寝脂ねあぶらを浮かせ、前後不覚に御寝ぎょしなっている。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
お市御料人ごりょうにんはまだお輿入こしいれにならぬうちから世にも稀なる美人のきこえの高かったお方でござります。
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
遠国の路を、数々の音物いんもつ、心入れなことよ。匠作しょうさくには、相かわらずかの。——云いわすれたが、故右府殿のお妹、久しゅう後家でおわしたお市御料人ごりょうにんを先頃お室へ迎えられたそうな。めでとう存ずる。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あのおかたはお初御料人ごりょうにんと内祝言をあそばしながら、かみがたぜいの攻めよせるまえに北の庄をお逃げなされて、若狭の武田家へたよっていらっしゃいましたところ
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)