御懇ごねんごろ)” の例文
この邸町、御宅の処で、迷いに迷いました、路を尋ねて、お優しく御懇ごねんごろに、貴女にお導きを頂いた老耄でござるわよ。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
相「方丈様には初めてお目にかゝります、わたくしは相川新五兵衞と申す粗忽な者でございます、今日こんにち御懇ごねんごろな法事供養を成しくだされ、仏もさぞかし草葉の蔭から満足な事でございましょう」
『吉田休安に服薬方を仰せ付けられ、外科には、栗崎道有を遣わされて、大切に保養せいとあるので、はや退出した。他の高家衆に介添かいぞえまで命じられて、随分、御懇ごねんごろなおいたわりであったらしい』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「今の様子ッたら何です、いや御懇ごねんごろね。そして肩を持つことね。油断もすきもなりはしない。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)