御憐愍ごれんびん)” の例文
……多分、むかしわが家に仕えていた小者という御憐愍ごれんびんからではあろうが……容易に、彼を朝廷の謀反人とする儀には、御同意をなされぬのだ。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
特に貧困の者には御憐愍ごれんびんのお沙汰があるとのことで、精しくしらべあげた調書のなかに、この家のことも書かれてあった、こなたはむろん知るまいが、伊緒どのの評判は
日本婦道記:春三たび (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
得たるか如くにてあれはこゝえる人にころもを下さるをなさけに同じ事なりうゑたるもの食を得たるが如くとあれば御憐愍ごれんびんの御政事こゝを以て知るべしとき常憲院さま五十のの時何を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
長平は無論に死罪でしたが、長吉の方はまだ子供でもあり、どこまでも親のかたきを討つつもりでやった仕事ですから、かみにも御憐愍ごれんびんの沙汰があって、遠島えんとうということで落着らくちゃくしました。
半七捕物帳:19 お照の父 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)