御小納戸おこなんど)” の例文
正月二十九日毅堂は御広敷おひろしき御用人を仰付けられ御小納戸おこなんど頭取を兼ね、明倫堂督学はこれまでの通り、御足高百俵を給せられた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
上屋敷の御小納戸おこなんどの処へまいった所が、之を貴様に下さると云て、奥平家の御紋のついて居る縮緬ちりめんの羽織をれた。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
名古屋の方にある有力な御小納戸おこなんど年寄としより、用人らの佐幕派として知られた人たちは皆退けられてしまった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
二十三歳のとき、綱吉が五代将軍の職につくとともに、抜かれて御小納戸おこなんどとなってから今日まで——かれの忠誠と、かれの天質を傾けた奉公ぶりとは、綱吉をして
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
名古屋と京都との往来も頻繁ひんぱんになって、薩長土肥等の諸藩と事を京畿けいきに共にしようとする金鉄組の諸士らは進み、佐幕派として有力な御小納戸おこなんど、年寄、用人らは退きつつあった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)