御国おくに)” の例文
旧字:御國
私も斯様に米国から御国おくにに伝道に参って居りますが、馨子さんの働きを見れば、其働きの間は実にしばらくの間でございましたが、私は恥入る様に思います。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そこで記者は、『御国おくにのいまの天皇の御名前は何と仰せられますか』と問うた。するとその沈黙の留学生は、『私どもは決して天皇の御名前を申あげることはありません』
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
それほど帰りたい御国おくにに帰ってきたというのに、なんのために縊れたりするのか。庄吉の言葉を例にひくのではないが、御国へ帰りたかったというのは、嘘のような気がする
ボニン島物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
全部の日本人が天子様をいただいてひとつになり、力をあわせて御国おくにをまもるんだ。
峠の手毬唄 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「そうだ。みんな御国おくにのために捨てる命だ。」
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「そんなら、御国おくにのほうが、まだしもだ」とこたえた。
ボニン島物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)