御仁おひと)” の例文
夜前やぜん此の御仁おひとがお見えになつてな。」と伯母は不安な調子で云つた。「お前に何ぞ御用があると云つてぢやつた。」
そればツかりぢやアない、まア明治世界めいぢせかいにとつてはたふと御仁おひとさ、福分ふくぶんもあり、うんもあるから開運出世大黒天かいうんしゆつせだいこくてんさ。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どうした事じゃ、其処な御仁おひとに申すが敵討か、喧嘩か」
鍵屋の辻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
若旦那様は、温柔おとなしい、口数のすくな御仁おひとで御座いました。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
夜前やぜんこの御仁おひとがお見えになってな。」伯母は不安な調子でいった。「お前になんぞご用があるといってじゃった。」