後腐あとくさ)” の例文
書く人間がゐちやはふつては置けません。一度はイヤな思ひをなさるつもりで、この書き手を搜し出し、後腐あとくされのないやうになさいませ
もしも出会ったら最後、息の根を止めるだけじゃなくって、お前や坊主まで、後腐あとくされを怖がってバラすにきまっている。
沓掛時次郎 三幕十場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
「こっちも、買うという話じゃない。抵当かたになら、あの山の茶畑に見込があるから、預かってもいいということなのだ。だが、そう後腐あとくされがあるようじゃ困るから、百さん、気のどくだが、この話はまず、破談だな」
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「死んだ妹さんのせゐにしちや氣の毒だ。思ひ切つて、皆んな言つた方が、後腐あとくされがなくて宜くはないかね」
この一件を小耳にはさむと、止めるをかずに飛び出しましたが、此方が頼んだ訳ではなし、金五郎が勝手に買って出たのですから、おかみさんは高見で見物していれば後腐あとくされなく片付きます。
瞼の母 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)