庭鳥にはとり)” の例文
しかしユダは必しも十二人の弟子たちの中でも特に悪かつたわけではない。ペテロさへ庭鳥にはとりの声を挙げる前に三度クリストを知らないと言つてゐる。
西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「そりやア、まことに御結構——お鳥さんのではなく、庭鳥にはとりの聲です」
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
彼は庭鳥にはとりく前にペテロさへ三度クリストを知らないと云ふことを承知してゐた。彼の言葉はその外にも如何に我々人間の弱いかと云ふことを教へてゐる。
続西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
同時に何か黒いものが一つ畠の隅へころげ落ちた。Kさんはそちらを見る拍子ひやうしに「又庭鳥にはとりがやられたな」と思つた。それは実際黒い羽根はねに青い光沢くわうたくを持つてゐるミノルカしゆの庭鳥にそつくりだつた。
素描三題 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)