幽愁ゆうしゅう)” の例文
月光に明瞭めいりょうに照された青年の顔は、端正な目鼻立ちにかすかな幽愁ゆうしゅうを帯びてゐた。青年はやゝ控へ目に声をかけた。
夏の夜の夢 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
折からここに、彼の幽愁ゆうしゅうの門をたたいた人物がある。——光秀にとって、それは思いがけない出来事だった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いかにせば秋の公園の云いがたい幽愁ゆうしゅうの眺めを破壊し得らるるかと、非常な苦心の結果、新時代の大理想たいりそうなる「不調和」と「乱雑」を示すべきサンボールとして設立されたものであろう。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)