干割ひわ)” の例文
その裾の辺りへ去年の枯れ草を茂らせ、ところどころ壁土を落とした築地ついじ。鋲は錆び、瓦は破損いたみ、久しく開けないために、扉に干割ひわれの見える大門。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
道は、その日の午後、やっと一つの山の小道へかかったが、木々の葉はえて、風は死し、谷はあるが、水はれ、岩は干割ひわれして、したたる清水の一トしずくもない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぱち/\とものゝ干割ひわれるおとがすさまじく、逃げ場にまよわれるお女中がたのうなりごえと悲鳴とがびゅう/\という火炎かえんのいぶきといっしょにきこえ出しましたが
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
干割ひわれた 咽喉のんど
恥の歌 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)